英語多読の末路

― 挫折してしまう子が多い本当の理由

ここ数年、英語教育の世界では「多読」という学習法が一気に広がりました。
英語教室がカリキュラムとして導入したり、ご家庭で ORT などを使って個人でチャレンジされたり——。

一見、とても良い流れに見えますが、
その「先」にある現実 はあまり知られていません。

この記事では、多読を続けた先にどんな未来が待っているのか、
そして 途中で挫折しないために保護者が知っておきたいポイント をまとめます。


理想の多読像は、とても魅力的だけれど…

英語多読と聞くと、こんなイメージを思い浮かべませんか?

  • 小学生が原書をスラスラ読みこなす
  • 英検準1級レベルの長文でも、時間に追われず読める
  • 英語の本が大好きになり、自分からどんどん読んでいく

実際に、こうした理想に近い成長を見せるお子さんもいます。
しかし現場で多く見られるのは、残念ながら別のパターンです。

最初は順調に読んでいたのに、だんだん本を開かなくなった
レベルを上げたら苦しそうで、そのまま止まってしまった

多読経験のある保護者の方や、
英語教室の先生から寄せられる相談の中で
いちばん多いのが「多読が続かない」という声 です。

「本を楽しめるタイプ」は全体の1割ほど

もちろん、多読がきっかけで本が大好きになり、

  • 自分で次に読む本を選ぶ
  • 楽しみながら読書量を増やしていく

そんな “多読と相性の良い子” もいます。

このタイプのお子さんは、
「自由に・楽しく」の多読だけでも力を伸ばしていくことができます。

しかし問題は、
こうしたタイプが 全体の1割ほど しかいない、という点です。

残りの8〜9割の子どもたちは、同じようには進みません。
ここを見誤ると、親子ともに苦しくなってしまいます。


「いつか本好きになるはず」が、裏目に出ることも

実際に多読に取り組まれた保護者の方からは、こんなお話をよく伺います。

  • 「そのうち本好きになるかなと思って様子を見ていた」
  • 「続けていれば、いつか伸びると信じていた」

しかし、期待して待っている間に

  • 読書量がなかなか増えない
  • 内容理解が追いついていない
  • 英語力としての伸びが見えない

という状態が続き、
最終的に 「うまくいかなかった…」 という結果に終わってしまうケースも少なくありません。

そのとき、保護者の方が

「自分の関わり方が悪かったのかもしれない」

と自分を責めてしまうこともあります。

いちばんの問題は「時間だけが過ぎてしまう」こと

何より大きな問題は、
うまくいかないまま 時間だけは進んでしまう という点です。

  • 気づくと学年が上がっている
  • 英語力が中途半端なまま中学へ進学する
  • 慌てて塾や英語教室に駆け込む

こうしたケースは、決して珍しくありません。

せっかく多読に取り組んでいたのに、
「結局、中学英語はゼロからやり直し」というルートに乗ってしまうこともあるのです。


早い段階で「タイプ分け」してあげることが大事

では、どうすれば “挫折しやすい多読” を避けられるのでしょうか。

ポイントは、早い段階で

  • 楽しく読める“本好きタイプ”の子
  • 戦略的なサポートが必要な子

を見極めることです。

前者の子には、
楽しい本をたくさん用意してあげるだけで十分です。

一方で、多くの子が属する後者のタイプには、

読書体験を「偶然に任せない」
「計画的に育てていく」

という視点が欠かせません。


英語多読アカデミアでは、
多くの生徒さんのデータから、
読解力の成長を 4つのステップ で捉えています。

ステップ1:文字を追いながら読める段階

  • 絵の助けを借りながら、
    ORT レベル4の内容を理解して読める
  • まだ「日本語への翻訳ありき」でもOK
  • 「絵+簡単な英文」で意味がつながる状態

ステップ2:新しい語彙を吸収できる段階

  • 高い理解度で ORT レベル5 を読める
  • レベル5までによく出る文法(現在形・過去形・三単現など)への理解が進む
  • 文章の中から「初めて見る単語」を前後関係でなんとなく推測できるようになる

ステップ3:さらに語彙・文法を広げられる段階

  • 高い理解度で ORT レベル9 を読める
  • 少し長めの文章・より複雑な文法構造にも慣れてくる
  • 登場人物の心情や、因果関係も追えるようになる

ステップ4:物語以外のジャンルにも広げられる段階

  • ノンフィクション・科学・歴史など、
    物語以外の文章も高い理解度で読める
  • 抽象的な語彙や、説明文特有の言い回しにも対応できる
  • 中学以降の長文読解・英検の読解問題への土台が完成している状態

自己流だと「ステップ2」で止まっているケースが多い

まずは、
いまお子さんがどのステップにいるのか
一度立ち止まって見てみることが大切です。

自己流で進めているご家庭では、
実は ステップ2で止まっているお子さん
意外なほど多く見られます。

体験レッスンでも、

  • 保護者の自己申告のレベルと
  • 実際の読解力チェック

が一致しないケースは少なくありません。

「音読が上手=理解できている」とは限らない

これは、保護者の方の「見る目」が足りないわけではなく、
音読が上手なお子さんほど「分かっているように見えてしまう」 からです。

  • スラスラ読める
  • 発音も上手
  • でも、内容を聞いてみるとよく分かっていない

という状態は、多読の現場でとてもよく見られます。

この状態を放置すると、

  • ORT のレベルをなかなか抜けられない
  • 語彙力・文法力が中途半端なまま中学へ進む
  • 結局、塾でゼロから文法をやり直すことになる

というルートに乗りやすくなってしまいます。


不安を感じたら、早めに「専門家の視点」を入れる

英語多読を進めていて、少しでも

  • 読書量が増えない
  • レベルを上げると急にきつそう
  • 本人の様子がしんどそう

と感じたら、早めにプロの視点を入れる ことをおすすめします。

第三者の目から、

  • 現在のステップ
  • 本のレベル設定
  • 読み方・進め方

をチェックしてもらうだけでも、
進め方の軌道修正がしやすくなります。

教室選びで確認しておきたいポイント

多読教室に相談する場合は、ぜひこんな点を聞いてみてください。

  • その教室では、どのようなゴール(到達レベル)を目指しているか
  • そのゴールまでに、だいたいどのくらいの時間がかかる想定か
  • 読解力・理解度をどのようにチェックしているか
  • 読みが止まったとき、どんなサポートをしてくれるか

保護者の方が思い描いているゴールと、
教室が想定している時間軸が合っているかどうかで、
「合う教室」「合わない教室」 がかなり変わってきます。


多読の末路は、必ずしも

「うまくいかなかった」
「続かなかった」

だけとは限りません。

  • どのステップで止まっているのか
  • その子に合った戦略が取れているか
  • 必要なところで、きちんと大人が手を入れてあげられるか

これらを見直すことで、
そこから一気に伸び始めるお子さんもたくさんいます。

もし今、

「このままの多読で大丈夫かな?」
「うちの子の場合は、どう進めるのが良さそう?」

と感じていたら、
一度立ち止まって“ルートの選び直し”をしてあげるタイミングかもしれません。

英語多読アカデミアも、
その見直しのお手伝いができたら嬉しく思います。