英語多読ってなに?

英語多読学習法とは、その言葉通りたくさん英語を読んでいく学習法のことを言います。一言でいえば、本の中身を味わいながら読書を楽しむ活動で、決して「英文の読解」ではありません。英語での物語を楽しめるよう力をつけながら、最後は本人が洋書の面白さにはまって、どんどん読んでいく状態を目指してきます。

一般的英語学習 英語多読
英語を一文一文訳す 英語のままで読む
完璧に英文の意味を理解 だいたい内容を理解
辞書を使う 未知語は推測

参考:https://e-st.cosmopier.com/theme/estation/files/tadokuBasic.pdf

多読の効果

「洋書を楽しく読んでいるだけで本当に英語力がつくの?」
そう疑問に思う方もいるかもしれません。実は、多読の効果については世界中で多くの論文やデータが存在し、日本国内でも信頼できる研究が多数あります。特に注目すべきは、多読が英語試験の成績に与える影響です。たとえば、ある公立高校のクラスでは、約30万語の多読を行った生徒の偏差値が12ポイント上昇、40万語を超えた生徒では15ポイントもの伸びが見られました。TOEICにおいても、多読だけでスコアが伸びた例が数多く報告されています。この成果の背景には「エビングハウスの忘却曲線」と関係の深い仕組みがあります。人間の記憶は、学んだ直後から急激に失われていきますが、適切なタイミングで繰り返し触れることで、記憶は強化・定着されます。多読はまさにこの「復習のタイミング」を自然に取り入れた学習法です。語彙や表現が何度も登場することで、忘れる前に再び出会う機会が増え、記憶が定着しやすくなるのです。さらに、英語多読では「単語を暗記する」という作業をせずとも、語彙が自然に増えていきます。これはインプット量が従来の50~200倍に跳ね上がるため、無理なく繰り返し接触できる環境が生まれるからです。多読とはエビングハウスが示した“忘却”の自然な流れに逆らい、記憶の定着を後押しする、科学的にも理にかなった学習法なのです。

エビングハウス(Ebbinghaus)の忘却曲線

読書記録と多読教材の選び方

多読を行う際に用いられるのが読みやすさレベルというものです。省略して「YL」と言います。YLはSSS英語学習法研究会が独自に定めた日本人の大人にとっての読みやすさレベルで、数値が小さいほど一般的に読みやすいことを表します。多読学習を行う人にとっては大切な指標なのでぜひ覚えてください。また、英検との対比表もご参照ください。準2レベルまでがYLレベル0となります。

レベル YL 英検
0 0.0-0.9 5-準2
1 1.0-1.9 準2
2 2.0-2.9 2
3 4.0-4.9 2-準1
4 4.0-4.9 2-準1
5 5.0-5.9 準1
6 6.0以上 準1-1以上